九谷屋のブログへようこそ。
弊社は大正12年の創業以来、九谷焼をはじめ工芸品を専門に取り扱っている企業です。
当ブログでは焼物の魅力や、有用な情報をわかりやすく、お客様へと発信させていただきます。
今回のテーマは「実際に結露やカビ、虫害に出遭ってしまった場合の対策」です。
どれだけ気をつけていても、長期間の保管や環境の変化によって、骨壺の中に湿気が溜まり、結露やカビ、虫害が発生してしまうことがあります。
もしそのような事態に直面してしまったら、どうしたらよいのでしょうか?
できるだけ落ち着いて対処し、ご遺骨を大切に守る方法を一緒に考えていきましょう。
■骨壺トラブル、3つのタイプ
骨壺のトラブルは、大きく分けて次の3つに分かれます。
- 湿気が溜まってしまう「結露」
- 湿気によって発生する「カビ」
- 骨壺の中に侵入してしまう「虫害」
どれもできれば避けたいものですが、万が一遭遇してしまっても、適切な対処をすれば問題なく解決できます。では、それぞれのケースごとに詳しく見ていきましょう。
■結露によって水が溜まってしまった場合
骨壺の内部に水滴がついていたり、底に水が溜まっていた場合、まずは乾燥させることが重要です。
【対処法】
- 骨壺の中のご遺骨を慎重に取り出し、清潔な布の上に置く。
- 骨壺の内部を乾いた布で拭き、直射日光を避けた風通しのよい場所で乾燥させる。
- ご遺骨も湿気を帯びている場合、柔らかい布で軽く拭き取り、日陰で乾燥させる。
- 再度収納する際は、シリカゲルなどの乾燥剤を適量入れ、湿気対策をする。
■カビが発生してしまった場合
骨壺の中に白い斑点や黒いカビが発生してしまうこともあります。 カビは湿気だけでなく、空気中のカビ胞子が原因となることが多いため、一度発生すると再発のリスクも高くなります。
【対処法】
- 骨壺の中のご遺骨を取り出し、乾いた布の上に広げる。
- 骨壺内部のカビを乾いた布で拭き取る。
- 軽度のカビなら、アルコール(エタノール)を含ませた布で拭き、十分に乾燥させる。
- ご遺骨にもカビが付着している場合は、毛先の柔らかい筆や布で丁寧に払い落とす。
- 完全に乾燥させた後、再収納する際は乾燥剤を入れる。
※漂白剤などの強い化学薬品は、骨壺の材質やご遺骨を傷める恐れがあるため使用しないようにしましょう。
■虫害が発生してしまった場合
骨壺の蓋に小さな隙間があると、極稀に小さな虫が侵入し、内部で発生することがあります。 特に湿度が高く、ご遺骨にカビが発生している場合、その環境を好んで虫が集まってしまうことも。
【対処法】
- 骨壺の中のご遺骨を取り出し、虫を払い落とす。
- 骨壺内部を乾燥させ、必要に応じてアルコールで拭く。
- 収納前に、虫が嫌う乾燥剤(シリカゲル)や、防虫効果のあるヒノキチップなどを入れる。
- 骨壺の蓋をしっかり閉め、必要であれば隙間をテープなどで塞ぐ。
■再発防止のために
結露、カビ、虫害が一度発生すると、再発のリスクも高まります。
【予防策】
- 風通しの良い場所に安置し、湿気がこもらないようにする。
- 除湿剤を定期的に交換し、湿度管理を徹底する。
- 定期的に骨壺の蓋を開け、中の状態を確認する。
- 骨壺の密閉性を高め、虫が侵入しないよう工夫する。
■まとめ
ご遺骨は、亡くなられた方の大切な形見です。 できる限り良い状態で守っていくために、日頃から適切な保管を行うことが大切です。
でも、結露やカビ、虫害が発生してしまっても、慌てず、上のように対応すれば、対処が可能です。
「大切な人を偲ぶ心を形にする」──それが供養の本質です。 そのために、心を込めてお手入れをしていきましょう。
お読みいただきありがとうございました。
九谷屋では、北陸地方を代表する伝統工芸品である九谷焼の素焼き骨壺をご提供しております。 宮内庁にも携わった作家の形づくる、良質で安価な一品をぜひ一度ご覧になってくださいませ。