贈る器の作法──慶事と弔事、それぞれの選び方

九谷屋のブログへようこそ。

弊社は大正十二年の創業以来、九谷焼をはじめ工芸品を専門に取り扱っている企業です。

当ブログでは焼物の魅力や、有用な情報をわかりやすく、お客様へ発信してまいります。

今回のテーマは「贈答の器」です。

年末年始、春の祝い事、夏の贈り物。器を贈る機会は一年を通じて訪れます。

けれど、慶事と弔事では選ぶべき色や柄が変わる。そのことをご存じでしょうか。

間違えれば失礼にあたり、正しく選べば心が伝わる。器の贈答には、静かな作法があります。

 

 

 

 

慶事の器──明るさと華やぎを選ぶ

結婚祝い、新築祝い、還暦や長寿の祝い。こうした慶事には、明るく華やかな器が好まれます。

九谷焼であれば金襴手(きんらんで)や色絵が適しています。金彩や赤、緑、黄の鮮やかな配色が、祝いの席に彩りを添えるからです。

有田焼なら染付(そめつけ)の青い線が清々しい。清水焼の繊細な絵付けも、上品な贈り物になります。

形は、夫婦茶碗や組湯呑、皿のセットなど、ペアや複数で揃う品がよいでしょう。「二つで一組」という形が、新しい門出や家族の調和を象徴するからです。

また、抹茶椀や酒器は、趣味を持つ方への贈り物として喜ばれます。使い手の暮らしを想像しながら選ぶこと。それが器の贈答の基本です。

 

 

 

 

弔事の器──静けさと品格を重んじる

法事や仏事の引き出物、お悔やみの品。こうした弔事には、派手な色を避け、静かな器を選びます。

白や淡い青、グレーといった落ち着いた色合い。金彩や赤は使わず、染付や無地に近いものが適しています。

九谷焼でも、色絵ではなく素焼きや淡彩の品があります。こうした控えめな器は、故人を偲ぶ場にふさわしい静けさを持っています。

形は、湯呑や小鉢、菓子皿など、日常使いできるものがよいでしょう。あまり大きすぎず、扱いやすいサイズが好まれます。

また、弔事の贈答では「割れる」を連想させないよう、包装や納品にも配慮が要ります。木箱入りや化粧箱入りの品を選べば、安心して贈ることができます。

 

 

 

季節と格──時期に合わせた選び方

贈答の器には、季節感も大切です。

春なら桜や梅の絵柄、夏なら涼しげな青や白、秋は紅葉、冬は雪や松竹梅。こうした季節の意匠が、贈られた側の暮らしに彩りを添えます。

ただし、格の高い席では季節柄を避けることもあります。正式な慶事や法事では、古典柄や無地に近い品が無難です。

迷ったときは、染付や白磁を選べばよいでしょう。どちらも時期を問わず、どんな場にも馴染みます。

 

 

 

 

避けるべき失敗──色と数の禁忌

慶事でも弔事でも、避けるべき色と数があります。

まず色。慶事で黒や灰色は避けます。弔事で赤や金は使いません。これは日本の贈答における基本的な作法です。

また、柄にも注意が要ります。鶴や亀、松竹梅は慶事向き。菊は弔事に使われることが多い。こうした意匠の違いを知っておくと、選ぶ際の迷いが減ります。

次に数。四や九は「死」や「苦」を連想させるため、セット品では避けられます。五客揃え、十客揃えといった形が一般的です。

もし三客や七客で贈る場合は、奇数が好まれる慶事に限ります。弔事では偶数が多く、二客や六客が選ばれることもありますが、四だけは避けるのが無難です。

 

 

 

 

包装と熨斗──最後の仕上げ

器を選んだら、包装と熨斗(のし)で仕上げます。

慶事には紅白や金銀の水引。弔事には黒白や黄白の水引を使います。表書きも「御祝」「内祝」「御仏前」「志」など、用途に応じて変わります。

九谷屋では、こうした包装や熨斗の相談にも応じています。贈答の用途をお伝えいただければ、適切な形でご用意いたします。

また、遠方へ送る場合は、割れ物としての梱包も重要です。器は丁寧に包み、緩衝材を十分に入れる。配送業者にも「割れ物」と明示すること。こうした配慮が、贈られた側への気遣いになります。

贈答の器、三つの心得

器の贈答には、三つの心得があります。

一つ、相手の暮らしを想像すること。使う場面、好みの色、置き場所の広さ。こうした細部に思いを巡らせる。

二つ、場の格を見極めること。慶事か弔事か、正式か略式か。その違いで選ぶ器が変わる。

三つ、季節と意匠を合わせること。春の祝いに桜、冬の法事に松。こうした繊細な配慮が、贈る心を形にします。

器は、言葉にならない気持ちを伝える道具です。正しく選び、丁寧に贈る。それが、日本の贈答文化の美しさだと、私たちは考えています。

九谷屋のご紹介

九谷屋では、慶事・弔事を問わず、贈答にふさわしい器を多数取り揃えております。

九谷焼、清水焼、有田焼など、全国各地の名品から、ご用途に合わせてお選びいただけます。包装や熨斗のご相談も承っておりますので、どうぞお気軽にお声がけください。

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