こんにちは。
九谷屋スタッフブログへようこそ。
骨壺を一時的に移動する機会は、頻繁ではないかもしれません。
けれど、法要での持参や、引越し・改葬に伴う移動など、いざという時は訪れます。
本記事では、骨壺を安全に運ぶための準備・梱包・持ち運びの要点を、落ち着いて整理いたしました。
ご家族のお気持ちに寄り添いながら、無理のない方法で進めていただけますように。
1.移動が必要になる主な場面
まずは、どのような状況で移動が発生しやすいかを確認します。
状況を言葉にしておくと、準備が整えやすくなります。
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法要や供養の場へ持参される時
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引越し・改葬に伴い、一時的に保管場所を変更される時
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納骨堂の契約更新・棚替えなどで出し入れが必要な時
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災害や急な事情により安全な場所へ避難させる時
いずれも、ご遺骨に関わる大切な行為です。
「壺の安全」「周囲への配慮」「心の準備」を柱に、段取りを整えられると安心です。
2.事前の確認と準備(計画づくり)
移動の前に、次の点を落ち着いて確認しておきましょう。
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移動日程と所要時間:混雑を避け、無理のない時間帯を選ぶ
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運搬手段:自家用車/公共交通/徒歩のいずれかを決める
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人数と役割:6〜7寸以上は、二人での持ち運びが無理のない方法です
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安置先のスペース:到着後すぐ置ける水平面を確保しておく
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管理者への連絡:お墓・納骨堂・菩提寺の規程は施設により異なります(事前連絡が安心です)
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必要品の準備:桐箱・覆い袋、緩衝材(気泡緩衝材)、柔らかい布、滑り止めシート、持ち手のある外箱 など
※ 法令や施設規則は地域差があります。必要な届け出・立会いの有無は、管理者へご確認ください。
3.梱包の手順(壺を守る“層”をつくる)
ご遺骨に直接触れず、骨壺そのものを保護する前提で梱包します。
段階的に“層”を重ねると、衝撃や揺れに強くなります。
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蓋の仮留め
装飾面を傷めないよう、弱粘着のマスキングテープで蓋のズレを予防します(直接のり残りしやすいテープは避ける)。 -
薄手の緩衝材で一巻き
気泡緩衝材(プチプチ)を一重巻きにして、形に沿わせます。 -
布で包む
柔らかい布や不織布で全体を覆い、緩衝材のズレを防ぎます。 -
桐箱へ収納
箱内に隙間がある場合はフェルトや布を詰め、中で“遊ばない”状態にします。 -
外箱・キャリーへ
持ち手のある頑丈な外箱(またはキャリーケース)に入れ、箱内も緩衝材で固定します。箱には「天地」「ワレモノ」表示を。 -
持ち上げ方
底面を両手で支えるのが基本です。片手持ちは避けましょう。 -
温度・湿度の配慮
直射日光や高温の車内を避け、急激な温度差を与えないようにします。
※ 桐箱や覆い袋は、調湿と衝撃緩和の面で安心です。紙袋・薄手のバッグだけでの持ち運びは避けたいところです。
4.自家用車での運搬(固定と温度管理)
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置き場所:座席の足元など、低くて安定した面が安心です。荷室に直置きする場合も、外箱+緩衝で動きを止めます。
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固定:外箱ごとシートベルトで固定すると、急ブレーキ時の前後動を抑えられます。
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温度差:真夏・真冬は車内温度が極端に変化します。直射日光を避け、長時間の車内放置は控えましょう。
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出し入れ:ドア開閉時の段差で傾けないよう、二人での受け渡しが無理のない方法です。
5.公共交通・徒歩での運搬(人の流れへの配慮)
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外見の配慮:中身が分からないよう、布や覆い袋で落ち着いた外観に。
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揺れ対策:キャリーケースを使う場合は、内部で動かないよう緩衝材で固定します。
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時間帯:混雑を避け、人の流れが少ない時間を選ばれると安心です。
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持ち方:片手ぶら下げは不安定です。両手で底を支える、またはリュック型・取っ手付きのケースを使います。
6.到着後の安置(設置・点検・心の区切り)
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設置面:低めの安定した水平面に、滑り止めシートや布を一枚敷いて安置します。
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環境:直射日光・結露・過度の乾燥を避け、風通しをよくします。
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点検:蓋・箱のガタつきがないか、梱包材の繊維が付着していないかを確認します。
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心の区切り:到着後に手を合わせて一呼吸置くと、気持ちが落ち着きます。ご家族のご不安が和らぐ小さな所作です。
7.避けたい扱い方(破損・不安の予防)
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コンビニ袋や薄手のトートだけでの持ち運び
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他の荷物を上に重ねる、転がす
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高温時の長時間の車内放置
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装飾面への強粘着テープ直貼り
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片手だけで長距離を歩く
どれも破損や不意の転倒につながりやすく、心理的にも落ち着きません。専用の梱包と二重の保護を意識されると安心です。
8.相談の目安(誰に・いつ・何を聞く)
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お墓・納骨堂・菩提寺の管理者:搬出入の手順・必要書類・立会いの有無
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葬儀社・石材店:実務手順や道具の準備、移動日の段取り
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購入先(九谷屋など):サイズ・素材に応じた保護方法や箱の選び方
施設規程・宗派・地域の取り扱いは異なる場合があります。事前連絡と確認をされると、当日の戸惑いが少なくなります。
関連する内容は「“骨壺の引越し”はできる? 納骨後に変えたいときの注意点と流れ」もご参照ください。kotsutsubo.jp
9.まとめ
骨壺の一時移動は、ご家族にとって緊張を伴う行為です。
準備(計画)→梱包(層づくり)→運搬(固定と配慮)→安置(環境と心の区切り)の順に整えると、落ち着いて進められます。
唯一の正解はありません。大切なのは、ご家族が無理のない方法で納得して運べたと感じられること。
本記事が、そのための静かな道しるべになれば幸いです。
九谷屋では、北陸地方を代表する伝統工芸品である九谷焼の素焼き骨壺をご提供しております。 宮内庁にも携わった作家の形づくる、良質で安価な一品をぜひ一度ご覧ください。